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思いがけない本に出会いました。『銀座24の物語』(文芸春秋刊)。『銀座百点』の1999年4月号〜2001年3月号に連載された短編を収めた銀座オンパレードの物語集です。
その中の1篇、藤田宜永(よしなが)「銀座の猫」という短篇に新富町のマドンナが登場するのです。
主人公は往年一世を風靡したシャンソン歌手、大井俊介、71歳。5年前に妻を亡くし、今は銀座8丁目に住む男やもめ。昭和通りを散策した折り、かつて三十間堀川が流れていた地点で、若き日に恋をした年上の女(ひと)の面影を思い出すのですが、その彼女が銀座のダンスホールやクラブに出入りしている時、アメリカ兵から「キャッツ・アイ」と呼ばれていた……。
小さな顔からはみだしてしまいそうな黒光りする大きな目。日本人離れした美貌の持ち主で、「赤いカクテルドレスを着ていた。腰が絞り込まれているので、躰の線が強調されていた。胸のふくらみは、まるで西洋の女のようだった。」とあります。
その波子というヒロインが「新富町の松竹本社の裏手にある坂上という家の娘」という設定なのです。
ぼくは思わず、手元にあった「昭和20年代の東京地図」のコピーで、松竹本社の裏手、つまり新富稲荷神社のあたりを探してしまいました。
むろん坂上なんていう名の民家があるはずはなく、かわりにぼくは早川、片山、川崎、花井さん……など20年代の地図にある名前が今の住宅地図にあるのを発見しました。
ところで主人公のところには、舌平目の猫缶が好物というゼイタクな野良の虎猫が出入りしていて、ヒロインと並んで重要な役を果たすのですが、省略。
なおまた、書き手の藤田宜永さんは、本書に「赤いコートの女」が載る小池真理子さんのご亭主で、ともに直木賞作家。真理子さんもまた黒光りする大きな目が印象的な美人で、その昔は新宿のマドンナと呼ばれていたような気がしますが、これも思い違いかもしれないので省略。
それにしても銀座に限らず築地・新富にも猫が多くて、このサイトの姉妹版『新富瓦版』でも「路地裏のニャン」というシリーズを始めたほどなのですが、その由来については……20年ほど前に出た飯島美奈子著『銀座のら猫物語』に詳しいのですね。が、もう紙幅が尽きました。またの機会に。
ちなみに右の写真は、まさに「新富町の松竹本社の裏手」つまり松し満のあたりにかつていた野良猫のチッチ。詳細は『新富瓦版』第2号「路地裏のニャン」で紹介しますのでしばしお待ちを。
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