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第42回●祝・清酒「新富座」誕生バトル!


伊勢元鋤柄(すきがら)酒店さんの店先


これが清酒「新富座」

 弥生3月吉日(24日、大安の日です)、 新富2丁目の一画からお花見にふさわしい芳醇な香りが漂い出ました。清酒「新富座」の発売開始です。発売元は編集局とは目と鼻の先、伊勢元鋤柄(すきがら)酒店さんです。
 添えられた「口上」にはこうあります。

 時の流れとともに、忘れられがちな郷土新富の歴史を、いつまでも、心に残しておきたい、また少しでも、心に安らぎを皆様に感じていただきたいとの考えで企画いたしました。
 今後とも、皆様の心の友として、清酒『新富座』をご愛飲していただければ幸いです。


 早速、ポケットマネーで小瓶を1本買い求め試飲してみたのですが、すっきりした辛口ながら芳醇なのどごしで、粋な下町の情緒をほのかに残すわが町新富町にぴったり。実はこの酒、伊勢元鋤柄酒店が京都伏見の酒造会社と共同で企画したプライベート・ブランド(PB)。中身は、淡麗な切れ味で知られる伏見の銘酒「キンシ正宗」の純米酒だそうです。おいしいわけです。
 ところで、新富座と言えば松竹(第1回「新富座開場式」参照)。松竹と言えば旧本社ビル(新富2-7-8)のその後の住人は灘の名門、菊正宗酒造東京支店。灘vs伏見。なんとも皮肉なバトルですが、仕掛け人のキンシ正宗の東京支店もまた新富1丁目にあります。同社は1945年、東京大空襲で霊岸島にあった東京支店が焼失し、新富町に移転してきた古株の住人だったのですね。
 なお同社のPBとしては、ほかにも「江戸東京渡し船の旅」と「江戸東京昔への旅」というシリーズがあって、こちらには「鎧(よろい)の渡し」という酒があって、日本橋人形町の(資)沢田商店さんが発売元。もっとも、この沢田さんと新富でおなじみ、鯛焼きの沢田商店さんがどういう関係にあるのかは未調査です。
 取材の過程で、こうしたお酒を「手印」(「しゅいん」または「てじるし」)の酒ということを初めて知りました。詳しい説明は省きますが、早速サイトで調べてみると、例えば「白髭橋」「言問橋」「吾妻橋」の3銘柄。これは向島酒販協同組合(組合員118名) の発売で、「隅田川七福神巡り、桜まつり、花火大会、都立向島百花園虫聞きの会、月見の会など 折にふれご賞味下さい」とあります。 また牛込酒販協同組合(組合員32名) の「辛口わせだ」なんて言うのもあって、あの早稲田カラーのラベルが愛らしい。
 このへんの話は、江戸時代に「下り酒」の大集散地で酒問屋が並んだ隣町新川抜きには語れない(八丁堀篇第11回「『新川河岸迷い酒』を読む」参照)ので、項を改めていずれ……。

注;在庫等のお問い合わせは、伊勢元鋤柄酒店(03-3551-0690)へ。




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