たまたま目にした「世田谷文学館ニュース」のバックナンバー(2004年4月号)に、館長である佐伯彰一さんと1995年に『この人の閾(いき)』で芥川賞を受賞した保坂和志さんの対談が載っていました。
なにげなく目を通していて、びっくりしました。猫派と犬派。同じペットでも、人間との関わりが大いに異なるのですね。犬については触れていませんが、例えば猫は、こんなふうに。
館長 ……そこが、今までのいわゆる家族仕立ての日本小説にない面白い味だなあという気がしていますね。それにまあ、猫が、わりに好きですね。
保坂 はい、そうですね。わりに、どころじゃなく(笑)。
館長 大好きなんだ。
保坂 はい(笑)。
それから佐伯館長の講釈が始まります。佐伯さんによれば、英国の小説家、オルダス・ハックスレーに「小説家になるには」というエッセイがあるそうです。
「まず猫をお飼いなさい」から始まって、1匹でもいいけど2匹とか飼って、猫の生態を見てたら必ず小説を書けるはずだ、と書いているそうです。
館長 そういうことを思いつかなきゃあなたは小説書く才能がないんだからあきらめなさいみたいな、洒落たエッセイがあって。僕はどっちかっていうと猫よりは犬が好きで、猫はなんだか苦手でね。やっぱり僕は小説は書けないわけだと(笑)。
このところ不勉強で、新人の作品を余り読んでいないのですが、保坂さんには『猫に時間の流れる』という作品集があって(新潮社刊)、帯の宣伝文には「不思議な生き物、猫への深い愛と洞察」とあります。
日々、路地裏の猫の生態を観察している本サイトの姉妹版『新富瓦版』のY編集長(姉御)に、早速ぼくはこの対談のコピーを進呈しました。オルダス・ハックスレーのエッセイ、そして保坂さんの作品を読むべきか読まざるべきか……姉御は思案しているはずです。
で、その前に、銀座の猫の生態に関しては第一人者との噂もある飯島奈美子さんの古典的名著『銀座のら猫物語』についてレポートすることにしますので、ご愛読ください。(真之介)
|