【 口上 | Web新富座 | 魚河岸通信 | 八丁堀物語 | 掲示板 | リンク勝手連 】

第4回●「ヤッチャ場」の女(続)

 そのK子ママが『東京青果市場とわたし』と題する私家本を貸してくれました。
 ママはブンガク少女で、小説と映画大好き人間。カウンターを挟んであれこれ話をするうち、ボクが元は下町のタウン紙の編集者で、今は「Web新富座」の座付き記者であることを知り、資料本として勧めてくれたのです。
 著者の松本義邦氏(1908〜1992)は築地の仲買「築地いせ長」の中興の祖で、築地の来歴などが詳しく述べられていて、大いに参考になりました。
 ただし、本書を拾い読みしていて「ヤッチャ場」という言い回しが間違っていたことを教えられました。市場での問屋対仲買または小売り商との正規の取引に対して、都心から離れた郊外で月に2〜3度行われるセリの場がヤッチャ場。セリの時の符丁がヤッチャヤッチャと聞こえたのでヤッチャ場と言われたとか。
 昔は市場の人間はヤッチャ場の人間、つまり「ヤッチャ場人」に対して優越感を抱いていたというのですから、青果市場でも古参であるK子ママの敬称としては不適切かつ失礼な呼称でした。
 で、浅学を反省しつつ『広辞苑』第5版をひもとくと、「【やっちゃ場】青物市場の俗称」とあるではありませんか。やれやれ、広辞苑よお前もか、というところでしょうか。



(C) 2002-2004 by SUN CREATE Ltd.
ご意見・ご要望はこちらまでどうぞ。