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第7回●マロニエ通りの春




銀座から築地方面へ歩くと
昭和通りまでマロニエ並木が続く。

 横光利一に「春は馬車に乗って」という短編があって、中身の方はもうまるで記憶にないのですが、このところのめまぐるしい季節の変化を見ると、春はトロット(駆け足)で駆け抜けていくようなせわしなさを感じてしまいます。
 そんな時節、平素なにげなく通り過ぎている道筋で思いがけない光景に驚かされることがあります。

 今朝も、有楽町駅からプランタン銀座の脇を築地方面に歩きかけて、ふと街路樹が青々と葉を茂らせていることに気がつきました。昭和通りに至るまで約300メートルなのですが、よくよく見ると、マロニエの並木道。「銀座マロニエ通り」というんですね。
 マロニエと言えばパリ。濃いピンクやオレンジ色の花が咲きかけていました。
 その先、昭和通りから首都高速道都心環状線を越え、築地警察署前から平成通りまでの街路樹は青桐。こちらはマロニエよりやや遅く、まだ葉が出かかったというところ。
 築地から茅場町方面に向かう平成通りは篠懸(鈴懸)の木、プラタナス。こちらもまだ日差しを遮るほどには大きく葉を広げていませんでした。でも白状すると、歩きながら、ところどころの幹につけられたプレートを見てそうと知る有様。恥ずかしながら、青桐とプラタナスの区別がついていませんでした。
 聞くは一時の恥、引くも一時の恥。『広辞苑』をひもとくと、青桐はまたの名を碧梧。ここであっと思いました。子規門下で虚子と並び俳壇の双璧と言われた河東碧梧桐(かわひがし・へきごどう)の俳号がここにあったのです。



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